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坂本龍馬逸話 一

名前の由来

坂本龍馬が生まれる前日の夜、父八平は黄金の馬が天から降りてくる夢を、母幸は体内から黄金の龍が天へ駆け登る夢をみた。翌日、目が覚めると出産したので龍馬と名づけたという。

母幸が日頃から可愛がっていた猫を妊娠中も常に腹の上で寝かせていたため、獣の精気が胎児に感染し、背中にひとかたまりの怪毛が生えた。この怪毛を易者にみてもらうと、「大器にして晩成し、必ず家名をあげるだろう」と出たので龍馬と名づけたという。

風雨の水練

ある雨の日のこと。坂本龍馬は日課である水泳の練習をするため、剣術修行で通っている日根野道場前を流れる鏡川へと出かけた。

その途中、偶然水練の師匠と出会い「龍馬、今からどこへ行くのだ?」と聞かれたので、「此は仰せまでもなく稽古にまいり候なり」と答えた。

師匠が「雨が降るこの天気だから、今日の稽古は休みだ」と言うと、「否、河水に入る稽古なれば晴雨となくぬるる覚悟いたしてこそ候」と笑って返答し、平然と水練をおこなったという。

人使いの名人

ある日のこと。藩命による幡多郡四万十川の土木工事があり、坂本龍馬は父の友人である池田虎之進の配下としてその工事の監督をすることになった。

まず龍馬は作業場をいくつかに区切り、互いの作業を競争させた。そして工夫たちを叱咤激励し、出来具合に応じて褒賞を与えた。

龍馬の監督下にある工夫たちの働きぶりが見事で作業全体が大きくはかどり、工事は無事終了した。

仕事が終わった後工夫たちは、「坂本の若旦那に使われていると知らぬ間に仕事がはかどるが、仕事が済んでみると急に疲れが出てクタクタになるのはどうしてだろう」と話し合い、「あれが本当の人使いの名人というものなのだろう」と笑ったという。

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